『闘うプログラマー』を読んで。
この本はマイクロソフトのWindows NTがどのようにして作られたのか書かれたOS開発物語です。主人公はこのプロジェクトの責任者デビットカトラー。本の表紙にも『ビルゲイツの野望を担った男達』とあります。結論からいうととても面白かったです。開発に携わる人はぜひ読むことをオススメします。
Windows NTとは?
Windowsには9系とNT系という2つの系統があります。9系はWindows95→98→Meと進化していきます。一方NT系はWindows NT→2000→XP→Vista→7→8→10と現在一般的に使用されているOSになります。つまり現在世界中で一番使われているOSの最初のバージョンを作った人たちの物語です。これだけでかなり興味をそそられますね。
最初のバージョンはWindows NT3.1で1993年の7月27日に英語版が発売されました。
始めはIBMと共同開発していたOS/2というOSの改良版として開発していたのですがIBMに開発しているといいつつ実はWindows NTを作っていたというのは大丈夫なの?と読んでいてはらはらしました。結局IBMに宣戦布告をするような形になってしまうのですが、結果は現代の通りWindows NT系はとても普及しているので勝者の物語になったわけですね。
色々な人達が登場する
この本の面白いところは開発物語を通してマイクロソフトの社風、海外のプログラマーの考え方や生活がわかる点です。ビルゲイツもちょくちょく出てきてプロジェクトを見守ります。そして様々なプログラマーが次々と登場してくるのですがひとりひとりがきちんとバックグランドまで書かれています。父親はこういう人で母親はこういう人で何歳くらいにパソコンに興味を持って学校ではこういうことをして…のように。逆にたくさんでてくるので最後のほうになると誰がだれだかわからなくなってきましたが(笑)
もちろん開発はとても大変だったようで「デスマーチ」という章があります。社員は株式のストックオプションによりみんなお金持ちだったようですが、それでも家族や友人の時間が取れないと悩みます(登場人物の中には離婚した人もいました)。それでも朝早く起きてジムに行ってから仕事に行く人もいたりしてちょっとアメリカを感じました。超優秀なプログラマーがテスター達も合わせると100人以上集まって数年かけて開発するとはOSの開発がいかに大変なのか勉強になりました。
泳げないなら沈めばいい
一番印象に残った言葉としてこれがあります。これはマイクロソフトの社風を表した言葉でつまり仕事ができないなら辞めろということですね。怖いですね。
この辺の考えが日本とアメリカでとても違うような気がしました。ただ世界一の企業になるということはそういうことなんですね。
カトラーの雷に耐えられるかな…。