村上春樹氏の『職業としての小説家』を読みました。
私は村上春樹氏の小説が好きです。20代の頃に次から次へと読み進め、短編と長編は全て読みました。現在も新刊が出る度に読んでいます(最近発売された「一人称単数」も購入し読みました)
小説は読んだのですが、エッセイや翻訳本といったものには中々手が伸びず1冊も読んでいませんでした。そんな時手にしたのが『職業としての小説家』でした。「小説家について語ります」と始まる通り、この本は村上春樹氏が小説を書き始めたころから現在にいたるまで細かく書いています。特に村上春樹氏がどのように小説を書くのか本人が語るだけあってかなり細かく書いてある印象を受けました。終わりまで書いたあと何回も読み直して書き直すようでこの作業がとても楽しいと語っています。
村上春樹小説の魅力
村上春樹氏の小説の魅力は「説明されないこと」だと思っています。推理小説なのに犯人を教えてくれないようなそんな感覚といえばいいのでしょうか。
村上春樹氏の小説は途中でよく不思議なことが起こりますが、そのことについてどうしてそうなったのかという説明がほとんどされません。そしてそのことが読了後に実はこうだったのではないか?とと想像させます。その後に他人の考察などを読んでみてまた一喜一憂しさらにあれこれ考えるのが好きです。物語の途中で想像もしないような方向に進んでいくので「そうきたか」と読み進めるのが楽しくなります。もちろん物語全体に漂う雰囲気も好きです。
私は基本的に「他人は他人」という考え方なので、他人の好き嫌いに口を出すことはほぼありません。自分が好きな音楽をいまいちだと言われても「まぁそういう感想があっても仕方ないよね」で終わるのですが、村上春樹氏の小説のダメ出しやこういうところが嫌いという記事を読むとなぜかカチンときます。自分でもわかりませんが私にとって村上春樹小説はそういう類のものです。
「職業としての小説家」を読んで自分でも小説を書いてみたいと思いが少し出てきましたが実際に書くことはないような気がします…。